岐阜県現代陶芸美術館「Ways of Earth」展

11月12日(火)セラミックパークMINOへ行き、
国際陶磁器フェスティバル美濃'24 のメインイベント
「国際陶磁器展美濃」を見て、
https://shizukozb.seesaa.net/article/2024-11-18.html

2階の岐阜県現代陶芸美術館で「荒川豊蔵展」を見ました。
https://shizukozb.seesaa.net/article/2024-11-25.html

11月24日(日)に荒川豊蔵資料館へ行ったことを、
https://shizukozb.seesaa.net/article/2024-11-28.html
先に書いちゃいましたが、11月12日の
岐阜県現代陶芸美術館の展示の続きに戻ります。

ギャラリーⅠの「荒川豊蔵展」を出て、
ギャラリーⅡへ向かう途中に、こんな案内がありまして、
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矢印に従ってプロジェクトルームへ行くと、

「Ways of Earth / A föld útjai」という企画展が
開催されていました。

写真撮影可
無料で見られる上に、素敵な小冊子もいただけました。
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Ways of Earthは、多様な陶芸文化を擁する岐阜県東濃地域と、「地質のワンダーランド」であるバコニュ山地・バラトン高地エリアを結ぶプロジェクトとして、ハンガリーを拠点に活動する陶芸家ネーマ・ユリアの発案により2022年に発足しました。ハンガリーと岐阜の参加作家たちは、素材、自然のプロセス、風土、歴史といったものの基礎を改めて発見すべく、2023年にかけ互いの大地を訪ねて二国を巡り、探求しました。

本展覧会は、この国際交流がそれぞれの創作に与えたものを掘り起こし、抽出したものです。作家たちは、二国を巡る旅を通じて、それぞれに個人的方法で、陶芸というメディアを、土、岩、基礎的な形、地殻変動といった要素、つまり自然と人間文化の根源的要素へと解きほぐしました。

(もらった小冊子より)

ってことで、ハンガリーのネーマ・ユリア氏と、
日本・岐阜の日置哲也氏と阿曽藍人氏の作品が展示されています。
そして、この交流を記録した写真家・ツィガーニュ・アーコシュ氏の
写真作品も展示されていました。

ネーマ・ユリア‥‥どこかで聞いた名前?
去年、岐阜県現代陶芸美術館で開催された
「ハンガリー現代陶芸展」で作品が展示されていました。
https://shizukozb.seesaa.net/article/2023-07-18.html
その時の展覧会でアーティスト・トークをされ、
今回もアーティスト・トークをされています。

ネーマ・ユーリア《中心柱 常緑》
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磁器土にバラトン高地で採取した土から作った釉薬を部分的に施し、薪窯で焼成している。台座となっているのは、同じ地域で採取した石灰石である。中心柱とは、植物の茎や根の中心部分で、水分や養分の通り道となる組織のこと。(もらった作品解説より)

ネーマ・ユリア《夢見る石》
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一見、黒い石かと思ったんですが、バラトン高地で採取した、お気に入りの玄武岩の形に基づいている。釉薬にも同じくバラトン高地周辺で採取した鉱物を用い、薪窯で焼成しているとのこと。

壁に展示された掛軸のような作品は、
ネーマ・ユリア「風景」シリーズ
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構図および寸法は、20世紀初頭にハンガリーに持ち込まれた、 同国における最初期の日本美術コレクションである、ペーター ・ヴァイ・ コレクション(プダペストのフェレンツィ ・ ホップ・ アジア美術館所蔵)に含まれる掛軸を基にしている。で、ベースとなっている紙はハンガリーで作られた手漉きの紙。ハンガリーや日本の土を使って作られているそう。

ネーマ・ユリア「混滑する風景」《生絹》《雨粒》《雪》
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日置哲也氏は、瑞浪市にあるカネ利陶料という陶土製造会社の
社長をしつつ、作家活動をしていらっしゃいます。
いわば「土の専門家」

日置哲也《汲む》
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2023年8月に作者らがハンガリ ーを訪れたとき、バラトン湖周辺の特殊な地質を事細かに案内してくれた、ユネスコジオパーク職員の地質学者・バルナバーシュ氏。彼が地質学を志したきっかけの地であるというカルデラ湖跡の畔で、 この環境を誇りに語る氏の様子がモチーフとなっている。 同氏の大きな手が、 自然を慈しみ掬い上げるイメージ、 また、複雑な地質を形づくった火山活動や水脈のイメージが重なっている。
作者の土への愛も感じられますね。

日置哲也《キューブ》《留まらない》
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「土の専門家」らしく、いろいろな土の見本のような作品。
球体の方は、いろんな土がまじりあっているようなのがいいな。

日置哲也《晒す》
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原土を型に詰め、そのまま風雨に晒しておくと、土がひび割れたり、溢れたり、さまざまな変化が生じる。素材に起こる現象を観察して示した作品は、それらが辿ってきた時間を想起させる。中央の作品には、ハンガリーで採取された土が使われている。


阿曽藍人氏は、2021年に美濃加茂市民ミュージアムで開催された
「阿曽藍人 Inner Land 内なる大地へ」
https://shizukozb.seesaa.net/article/2021-11-05.html
見に行ったんですが、とても良かったです。

阿曽藍人《宝石》《石と山の景》
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《宝石》は、長い時間をかけて磨かれた小石が、
《石と山の景》は、山の姿を想像させる岩の欠片が、
その姿を得るまでの過程のイメージを黒陶によって表現したもの。

阿曽藍人《場》
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球体と、ちょうど球体がはまる窪みがある幾何学的な立体。
球体が動くと空間のありようは変化します。

会場入口前に置かれていた作品
阿曽藍人《深度》
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この展覧会の土の素朴な質感と端正な造形、
とても私好みで良かったです。

日本とハンガリーでの交流の様子が、
もらった小冊子にも載っていました。
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この展覧会、2024年5~8月にハンガリーの
ハウスオブアート・ヴェスプレームで開催され、
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小冊子にはハウスオブアート・ヴェスプレームでの
展示風景が掲載されています。

岐阜県現代陶芸美術館で10月18日(金)~11月17日(日)
に開催された後、

東京のリスト・ハンガリー文化センター東京で、
https://culture.hu/jp/tokio
11月20日(水)~12月4日(水)に開催されます。
(一部を紹介する巡回展とのこと)

リスト・ハンガリー文化センター東京 Ways of Earth展
https://culture.hu/jp/tokio/events/Ways-of-Earth-2024-exhibition


岐阜県現代陶芸美術館: https://www.cpm-gifu.jp/museum/

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