「リサ・ラーソン展」を見たことは前記事に。
https://shizukozb.seesaa.net/article/2024-07-10.html
まだ少し時間あるので、近くの
多治見市美濃焼ミユージアムに寄っていくことに。
「中国陶磁
よみがえる山本コレクション」って企画展をやっています。

昨年6月29日(木)も、岐阜県現代陶芸美術館の後で
ここに来てるんですが、
多治見市美濃焼ミュージアム「中国陶磁」展
https://shizukozb.seesaa.net/article/2023-07-23.html
その時も「平成12年(2000年)に山本正之氏から寄贈いただいた中国磁器を、約20年ぶりに展示します。」って
「中国陶磁 よみがえる山本コレクション」展をやってまして、
昨年は「陶器編」として、新石器時代の彩陶や漢代の平成12年(2000年)に山本正之氏から寄贈いただいた中国磁器を、約20年ぶりに展示します。緑釉陶器、唐代の三彩や墳墓の副葬品を中心に紹介しました。
ってことで、私が行ったのはその後期展示が始まったところでした。
今回の「磁器編」では、宋代から中華民国時代にかけて、世界に多大な影響を与えてきた景徳鎮窯の作品の中から、古くから日本人に好まれた古染付をはじめとし、会期の前半では宋・元代の青磁、白磁、黒釉やその産地の窯を、後半では明・清代の鮮やかな色釉や五彩等の作品を紹介します。(チラシ裏面の文)
前期展示 令和6年4月27日(土)~6月30日(日)
後期展示 令和6年7月3日(水)~9月1日(日)
と、展示替えがあり、前期展示の最終日に行ったことになります。
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観覧料一般320円 撮影可!!
ギャラリーM1がその企画展
「中国陶磁~よみがえる山本コレクション-磁器編-」前期展示
「景徳鎮」って言葉は焼き物に詳しくない私でも知ってます!
(以下、青字は、説明版より抜粋した文)
景徳鎮窯 世界を代表する陶磁器の産地
中国江西省に位置する景徳鎮は、陶磁器生産に不可欠な良質な原料と薪に恵まれ、近郊を流れる昌江(しょうこう)の水運を活かして、古く十世紀から今日まで窯焚きの煙を上げてきました。
北宋時代の景徳元年(1004年)にその元号を冠した景徳鎮窯は、北宋以降の中国陶磁史千年の代表格として君臨してきたと言っても過言ではありません。
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《青花虎文綾花盤 古染付》明末 景徳鎮窯 16末~17世紀
古染付
古染付は、明代末期の天啓(てんけい)期を中心に、その前後の時期に景徳鎮民窯で焼造された染付磁器で、茶器古染付と、常器古染付に分類されます。口縁部に虫喰(むしくい)と呼ばれる釉のほつれがあり、粗雑な器ではありますが、紋様は自由奔放です。
茶器古染付は、やや厚手に作られていて、形は変化に富み、志野・織部の器形を思わせるものがあります。そのため、日本の茶人が型見本などを送って注文した器と考えられています。一方、常器古染付は、定型的な形の椀・皿類で、中国国内向けに大量に作られたものですが、日本人の趣向にあったため、日本に向けて輸出されたと考えられています。
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《青花牡丹文綾花鉢 古染付》明末 景徳鎮窯
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《青花烏兎文盤 古染付》明末 景徳鎮窯
うさぎがカワイイ(^▽^)
私、中国の歴史には全く詳しくないので、明がいつの時代なのかも
知らなかったんですが、たまたまLINEマンガで配信されてきて読んだ
滝口琳々『新☆再生縁-明王朝宮廷物語-』が成化帝の時代を舞台にしていて、
歴史上の人物も出てくるので、ちょっと興味も出てきてたんですが‥‥
この、「コラム 歴代皇帝を通して覗く明の時代」で、
十五世紀中庸の成化帝は、日本では知られた時代です。江戸時代を通じて生産された時期の多くに「大明成化年製」の銘がありす。成化年間に景徳鎮窯で優れた磁器が作られたことから、憧れを込めて記されました。その成化年間の皇帝の人柄はというと、骨董趣味とチベット仏教に生きがいを感じ、官僚との接触を好まなかったため、宦官の影響力を強くしてしまった皇帝でした。しかし、比較的平和な時代であったため、優れた磁器を生産できたのかもしれません。
『新☆再生縁』に出てくる成化帝も、吃音で寵愛する萬貴妃のいいなりに
なっている気弱な人物として描かれてます。
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《青花草花文扇形鉢 古染付》明末 景徳鎮窯
漳州窯(しょうしゅうよう)
明から清代にかけて、景徳鎮窯製品を模倣した青花磁器(呉須染付)や五彩磁器(呉須赤絵)、素三彩などを生産し、日本やアジア、ヨーロッパなど世界各地に輸出しました。
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《五彩アラビア文字文盤 呉須赤絵》明末 漳州窯
すごく素朴なカンジ
青花(せいか)
白地に青い文様が生える青花は、素地にコバルトを用いて筆彩で文様を描き、透明釉をかけて焼成した陶磁器です。日本では青花のことを染付と呼びます。青花は元時代(13~14世紀)に景徳鎮窯で誕生しました。釉下彩であるため文様が落ちず、食器として使う場合でも清潔感があり、中国国内のみならず、国外にも好まれました。
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《青花麒麟文盤》清 17~19世紀
コラム 清はどんな時代? その頃の日本は?
‥‥このように、明から清への王朝の入れ替わりによって国内が混乱したため、海外への中国陶磁の輸出が困難になってしまいます。そこでオランダ東インド会社は、日本の有田へ中国磁器に劣らない製品を作らせたのです。
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《青花文字文盤 古染付》明末 景徳鎮窯
天目 喫茶の普及にともない流行した黒釉の器
建窯(けんよう)で焼造された黒釉盞(さん)のことを建盞(けんさん)(天目)と総称します。天目という言葉は、浙江省(せっこうしょう)北部にある山の名前で、鎌倉時代に中国に渡った禅僧がこの山から持ち帰った容器を天目とよんだことが語源とされています。
(中略)
日本では稲の穂先の禾(のぎ)に見立て、禾目(のぎめ)天目と呼びますが、中国ではその筋文を兎の毛に見立てて兎毫盞(とごうさん)とよびます。
コラム なぜ闘茶には天目が好まれたの?
‥‥闘茶においては、茶が白いことが重要であるため、白い泡を引き立たせる黒い器が好まれました。これが宋代に黒釉の器が流行した理由といえます。
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《黒釉兎毫斑椀(とごうはんわん)》南宋 建窯 12~13世紀
耀州窯(ようしゅうよう) オリーブグリーンの深い色調
耀州窯は陝西省(せんせいしょう)銅川(どうせん)市にあり、古都・長安からほど近い場所に位置します。かつては揚州(ようしゅう)に属していたことから名付けられました。唐代には青磁・白磁・褐釉(かつゆう)などが盛んに作られ、五代時代以降は越州(えつしゅう)窯の影響を受けた青磁の生産が中心となりました。
北宋代になると、オリーブグリーンの深い釉調に、片切り彫りによる文様が施された青磁が生産されます。北宋代中期以降は、型を用いて施文された椀が量産されました。
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《青磁印花宝相華唐草文椀》金 耀州窯 12~13世紀
(これ、キャプションでは「金 耀州窯」ってなってるけど、
作品リストでは「北宋 耀州窯」ってなってる)
鈞窯(きんよう) 二色の釉薬が玄妙に重なり合う落ち着いたやきもの
鈞窯の青磁は澱青釉(でんせいゆう)と呼ばれる失透性(しっとうせい)の青い釉薬がかけられ、独特な華やかさと落ち着きをもっています。中には澱青釉の上にさらに銅を呈色材(ていしょくざい)として紫紅色の斑紋を作り出すものもあり、上品な美しさを醸しだしています。
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《澱青釉鉢》鈞窯 13~14世紀
龍泉窯(りゅうせんよう) 淡く済んだ青緑色「砧(きぬた)青磁」
龍泉窯の青磁は北宋代から本格的に生産され始めました。灰色がかった淡い色調の淡青釉が特徴です。
南宋代には明るい青色の青磁が出現しました。これが日本で有名な砧青磁と呼ばれるものです。
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右《青磁刻花唐草文水盤》元末~明初 龍泉窯 14~15世紀
左《青磁刻花唐草文稜花盤》元末~明初 龍泉窯 14~15世紀
コラム 宋・元はどんな時代だったの?
‥‥全く詳しくないので、へーって読みました。
徽宗(きそう)は風流太子と呼ばれるほど芸術を愛した皇帝だったこともあり、宋代においても多くの優れたやきものが焼かれています。
LINEマンガで読んだ
青木朋『天上恋歌〜金の皇女と火の薬師〜』
が、徽宗皇帝の時代を描いていて、とにかく青木朋さんの絵が素敵!!
ヒロインも可愛らしいし、男たちも少女マンガらしい甘い風貌。
戦いなど歴史の暗い面も描いてるけど、なんかロマンチックに読めてしまう。
つい、徽宗皇帝やその頃のここともググってたりしてました。
国宝の《桃鳩図》が徽宗の絵なんですね。
史実ではこれから、かなりシリアスな展開になるはずだけど、
主人公たちどう描かれるのかな?
有名な『水滸伝』も徽宗皇帝の時代を舞台にしているそうですね。
(こちらは私は読んだことないけど)
磁州窯(じしゅうよう)
磁州窯では、主に灰色の胎土に白化粧を施し、透明釉をかけて焼成する技法が用いられてきました。あたたかみのある柔らかい色調が特徴的です。
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右《白地鉄絵花文壺》元 磁州窯 13~14世紀
左《白地鉄絵花文盤》明 磁州窯系 14~16世紀
ちょっと素朴なカンジがいいな。
磁州窯は、純白の白磁素地が手に入らなかったことから代用品として白化粧のやきものを作ったといわれますが、模倣で終わらないところが陶工たちのすごいところです。北宋代に掻落(かきおとし)技法が盛行し、近代以降には、筆彩で文様を表す白地鉄絵が主流となりました。
徳化窯(とくかよう)
宋から清代にかけて、青白磁や白磁を中心に生産し、主に景徳鎮窯製品を模倣しては海外へ輸出しました。
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《白磁獣面耳付香炉》明~信 徳化窯 14~19世紀
徳化窯の白磁は仏菩薩像に象徴されます。明代には、乳白色の上質な白磁の仏像や人形などの優れた造形物を生産し国内外で珍重されました。
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左《白磁観音坐像》清~中華民国 右《白磁羅漢坐像》清 徳化窯
山本コレクションにみる中国陶磁史
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中国の陶磁史はもちろん、中国の歴史についても
よく知らない私には色々お勉強になりました(^^;
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常設展示室
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多治見市明和36号窯出土《山茶碗 溶着した椀》13世紀
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山茶碗は庶民向けに大量に生産されたそうなので、
焼成の時に溶着しちゃったのかな?
志野の釉薬は長石という鉱物を主成分とし、これにより器の表面に筆による鉄絵を施すことが可能となりました。特徴的な白い釉薬は器面に暑く掛かり、下に描かれた文様にやわらかな濃淡を与えています。
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左《志野菖蒲大角鉢》16~17世紀 桃山時代 右《志野 折縁鉢》16~17世紀
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左《鳴海織部 茶碗》17世紀 右《黒織部 茶碗》17世紀
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《志野織部 蓮文台付向付 5客》17世紀
慶長20年(1615)に古田織部が自刃した後、小堀遠州が茶頭になると茶の好みは「綺麗さび」へと変わります。茶道具も洗練された端正なものが再び好まれるようになり、織部焼きの生産は衰退していきました。
長石に灰を加えた、黄緑色や淡い青色に発色する釉薬が施されますが、この釉薬は「御深井(おふけ)釉」とも呼ばれます。
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西浦焼
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成瀬誠志《色絵透彫昆虫図花瓶》大正12(1923)年頃
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中心の円筒部分が外せるようになっていて、そこに
蝉や蝶などの昆虫が描かれているのだそう。
美濃焼の人間国宝(重要無形文化財技術保持者)6人の展示
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右から
「志野・瀬戸黒」荒川豊蔵
「色絵磁器」加藤土師萌
「白磁・青白磁」塚本快示
「志野」鈴木藏
「三彩」加藤卓男
「瀬戸黒」加藤孝造
通路に展示されていた中山製陶所の
日本の屏風の絵をデザインした十二か月のコーヒー椀皿
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「美濃の大倉陶園」と称されるほどの評価を一代で達成した
中山保夫の中山製陶所のことは、2017年にここで開催された
「幻のナカヤマ」展 で知りました。
https://shizukozb.seesaa.net/article/2017-08-27.html
ギャラリーS1 は企画展「明治・西浦焼の世界」
去年来た時も、この展示室で「明治・西浦焼の世界」を
やっていたんですが、展示作品が変わってる?
《上絵菊水蝶画ティーセット》西浦焼「西浦製造」銘 明治前期
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《釉下彩棕櫚図花瓶》ルックウッド 絵付:白山谷喜太郎 1900年頃
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西浦焼《釉下彩芥子図花瓶》と、
ルックウッドが雑誌の広告に載せた芥子の花の花瓶
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2つの芥子の花瓶はよく似ています。
このルックウッドの花瓶の情報をもとに作られたのではないかと。
西浦焼ではボストンに支社を開設したり、四代西浦圜治の娘婿である
西浦猪三郎がセントルイスバンコク博覧会の視察やルックウッドを
訪れたりしているそう。
《染付秋草画珈琲C/S》濃陶社「濃陶社職工/加藤五輔造」銘
明治13~18年(1880~1885)
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取っ手が車輪のようになっているところも面白いですね。
《釉下彩沢潟画花瓶》西浦焼「西浦焼」銘 明治後期
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アールヌーヴォーっぽい?
釉下彩で描かれた沢潟のデザイン素敵です。
西浦焼のC/S(カップ&ソーサー) 3点とも明治後期
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左《銀彩釉下彩花図ティーポット》西浦焼「西浦焼」銘 明治後期
右《釉下彩富士に鶴図ティーポット》西浦焼「西浦焼」銘 明治後期
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現代の美濃陶芸の部屋で
加藤孝造《志野扁壷》
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さて、ここの美術館の楽しみ、
人間国宝など美濃を代表する作家の茶碗で抹茶がいただけます!
(実はここに寄ろうと思ったのは、このお抹茶がいただきたかったため(^▽^;)
人間国宝のお茶碗は800円、
美濃を代表する作家のお茶碗は500円
お茶碗は月替わりで、その月のお茶碗は、
美濃焼ミュージアムのウェブサイト:
https://www.tajimi-bunka.or.jp/minoyaki_museum/
トップページのお知らせで案内されています。
私が行った2024年6月のお茶碗は、
https://www.tajimi-bunka.or.jp/minoyaki_museum/archives/6198
人間国宝・荒川豊蔵さんの《粉吹風茶碗》でいただきました!
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茶室にはモダンな陶の作品が飾られています。
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ひねったような黒い形が面白い!
伊村俊見《揺22-1》令和4(2022)年
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掛軸の下の青い作品は
大橋桃之輔《碧之器》
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多治見市美濃焼ミュージアム: https://www.tajimi-bunka.or.jp/minoyaki_museum/
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帰りに、まだ間に合うな‥‥って、
スペース大原「天野裕夫 彫刻展 へ行きました。
会期: 2024年6月15日(土)~6月30日(日)
13:00~18:00
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会期終了ギリギリの時間(^^;;
スペース大原のインスタグラムで、素敵な写真がアップされてたので、
https://www.instagram.com/spaceohara/
ここはとても雰囲気もいいし、見たいと思ってたんですが、
まぁ、行っても私に買えるはずもないし‥‥
過去記事:
2021年のスペース大原「天野裕夫 彫刻展」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2021-05-30
2018年スペース大原「天野裕夫展|かえってきた象」
https://shizukozb.blog.ss-blog.jp/2018-12-23
古民家のたたずまいが風情あります。
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庭にもいくつか作品が置かれています。
素敵な雰囲気の中、作品を鑑賞させていただき、
お茶までいただいてしまいました。
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スペース大原、インスタやウェブサイトがとても充実していて、
写真が美しいです。
スペース大原: http://www.spaceohara.com/
スペース大原ブログ: http://spaceohara.blogspot.com/
スペース大原インスタグラム: https://www.instagram.com/spaceohara/
スペース大原の駐車場入口にある天野裕夫さんの作品
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私のiPhoneは、これをシチメンチョウだと?! (^o^;;

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